序章 強い人、強い会社とは
一番なりたくなかったのは商売人
中国西安市から北に約170キロ離れた田舎に生まれた私は、小さい頃から読書が大好きで、本があれば一日中動かなくてもいい子どもでした。
歴史・人物(伝記)・小説・商業・スポーツなどの本だけではなく、漢方薬に興味を持っていた父が買った医学の本や、兄の管理している村で購読していた『陝西新聞』を毎日読みました。私は本だったらすべてのページ(前書きも後書きを含む)、新聞だったらすべてを隅々まで読んで、今でもその習慣は変わりません。
小さいときから、教師や学者や将軍または作家や冒険者や政治家等を将来の夢にしたことがありましたが、商売人になろうとは全く思いませんでした。
その理由は、読書ばかりしていたので会話が苦手で、かつ両親や親戚をはじめ周りには商売をしている知り合いはいなかったからです。また当時の本や世の中のイメージとして、商売する人には詐欺者が多いとか、うそがうまいとか、たばこやお酒が飲めないと商売ができないとかいった思い込みがあったことも関係していたと思います。
高校卒業後2年間は農業をして、大学卒業後1年半工場で働いて、約5年間大学講師として勤めましたが、経験した仕事はそんなに好きではなかったのです。小さいときの夢であった研究者や作家、冒険者、将軍などは、どれも実現できませんでした。
結局一番なりたくなかった商売人になりました。博士号を取ったのに大学に入ってからの目標だった学者にはならず、以前は興味のなかった商売を始めました。商売を始めてから20年経ち、本当に大変な出来事にあって、倒産するかもしれない厳しい状況や様々な制限の中で、できる限りの力でやってきてました。
現在持っている会社の経営状況は順調で、社員たちも成長しているので、ある程度で満足しております。
人生って面白くて不思議ですね。