エッセイ 『一人十色』 【第2回】 イドゥルギ ヒロ,イドゥルギ ヒロ 「息子の顔が見たい」と言う妻に、私は「後でゆっくりね」と言ってしまった。だがそのあと妻は意識を失い、我が子に会えないまま… 【前回記事を読む】「至急病院に来て欲しい」妊娠した妻の病院から電話があった。病院に飛ぶと、妻は集中治療室の中で......手術を終えて我が息子と初対面した。通常なら周囲に祝福される瞬間だが、低体重児だったのですぐにNICUに回され、妻は息子の顔が見たいと微かに言っていたが、「後でゆっくり見られるから今は安静にして」と言ったのを今でも後悔している。妻はICU病室から個室に移ったが寝たきりの生活だっ…
小説 『不倫の何がいけないの?[人気連載ピックアップ]』 【第15回】 安本丹 母の似顔絵が描けない。一人暴風雨のなか徒歩で帰宅。みんなには当たり前にいるお母さんが、私にはいない 【前回の記事を読む】「お母さん! ゴマちゃんが動いたの!」幼い私は母を呼んだが返事はなかった。母は結局、私を育てることを途中でやめてしまった「自分達で育てられないのなら、子供なんて産まなければいい!」その考えのもと、自分の子供だけには同じ想いをさせたくはないと強く感じていた。『できちゃった結婚』はまさに責任感のない人間達のなせる技だと思った。結婚という覚悟ができてない未熟な人間が、子供なんて育て…