【前回の記事を読む】人の心は考え方一つ。土砂降りの中出かけたおばあちゃんが残した言葉とは

第二章 私の健康観

 

5 医療

悩んでいた時、たまたま整体の先生と知り合い、鍼灸、高電圧治療を試みたところ、だいぶ痛みが和らぎダンスのレッスンが受けられるまで改善しました。西洋医学を学んだ我々医者は、東洋医学を軽視しがちですが、とりあえず何でもトライしてみることが大切かなと実感しました。それからは、その日の自分の身体と相談しながら、だましだまし運動しています。

そしてさらに私は、男性ホルモンであるテストステロンを測定し、少し低めであったため、テストステロンの補充療法を始めました。筋肉増加、意欲向上、勃起力の改善を認め、益々元気になりました。

 第三章 患者さんと触れ合う中で学んだこと

1 当院自慢のわがまま患者さん

糖尿病の値が常に悪い患者さんのお話です。

いろいろなこだわりが強く、さまざまな病院やクリニックで喧嘩をしてしまい、診てくれる医者がいないとのこと。確かに薬のアレルギーもたくさんあり、なかなか難しそうです。しかし「来てくれた患者さんはすべて診る!」をモットーとしていた私は、むしろやりがいを感じておりました。

「自分はいつ死んでもいいのだ!」そんなことを言いながらちゃんと薬がなくなったら来院します。いつ死んでも良くないのです。幸い大きな合併症もありません。きっと自分なりに生活の工夫をしていると思います。

私は自分の身体を気にすることが何よりも長生きの秘訣なのではないかと思います。

人それぞれ何が何でも糖尿病を改善したい! という方もいれば、唯一の楽しみの食事を制限するなんて死んでもヤダ! という方もいます。人生観に違いがあるのも当然です。

なので、初診の問診票にA.精一杯努力し改善したい、B.ほどほどに、C.このまま好き放題生きたい、という項目を設け、チェックしてもらいます。

もちろんCを選択し、それ故、血糖値が高くても彼の身体と人生を私は見守っています。

 

2 「医者が処方する薬を飲むと早死にする」

「医者が処方する薬を飲むと早死にする」といった新聞記事を初診時に持って来られた患者さんのお話です。

当時は週刊誌で糖尿病の薬などが特に取り上げられ、寿命が縮まるだの、癌になるだのと、騒がれていた時でした。

彼は広告代理店に勤め、引退し、老後は海の見えるところで……と横須賀に引っ越してきた患者さんでした。この出来事から、いつも診察時に馬鹿話ができるほどの仲になりました。