圭はレポートの英文を千佳に読ませ、正しく直っている文は「OK」と言い、まだ直っていない文は何度も書き直しを命じる。こうして十ページほどのレポートを直し終える。千佳が嬉しそうに両手を上げて叫ぶ。

「私、哀れな千佳は、鬼講師のスパルタ特訓に耐え忍んだわ!」

すると、圭がそこで怖い顔を見せる。

「本当の直しはこれからだ。文の段落ごとに千佳が言いたかったことを確かめて、その内容が正しく英文で書かれているかどうかチェックしていくぞ」

千佳がふくれ顔で叫ぶ。

「鬼!」

圭はその言葉を全く意に介さない。

「カレーは煮込むほど美味くなる。時間はたっぷりある。千佳、最初のページに画面を戻し、最初の段落で何を言いたかったのか、日本語で俺に説明してもらいたい」

千佳は呆れたというような顔をし、やる気のないそぶりで、自分の言いたかったことをぼそぼそと話し出す。

圭はその日本語の説明を聞いて、文を削ったり加えたりするよう千佳に指示をする。こうして十ページを直し終える頃には、時計の針が午後九時を指している。

【前回の記事を読む】「なんて嫌な女!」突然現れた怪しい女。サーフィンを教えてもらっていたと言うが…。