我輩は清掃人じゃ
1.登場と過去
そうじゃ。重い腰を上げるときが来たのじゃ。自分にムチ打ち、とりあえず、正社員でだめならパートでもアルバイトでもよいので、まずは面接じゃな。面接~~面接~~(笑)
ハローワークにチャリンコで乗りつけ、探しまくった。時間をかけ、二、三件リストアップしてから一件にしぼりこみ、己を信じてレッツゴー! そんで、ここからが本番。ショータイムじゃ。
帰宅してから、緊張のため震える指先でガラケーを扱う。「あぁーもしもし、○○さんですかの。我輩は、大人輝男っちゅうもんじゃ……」から始まって、担当に代わる。
「……それでは、三日後の午前十時に伺わせてもらうけんの。それじゃの」
ん? 何々? ビジネス的な会話でない? よいのじゃ。我輩はこれで通ってきたのじゃ。アチャッ! アチャッ! ヒュンヒュン! ヒュンヒュン! これはの、かつてのカンフー映画のヌンチャク決戦の模様じゃ(笑)
2.いざ、面接へ︱第一段階突破?
新潟駅前から数分の、とりわけ地価が高いはずの場所に位置するビルまでチャリンコキコキコし、身勝手じゃが、ビル前に不法に駐輪させてもらい、エレベーターで三階まで上がっていく。
チーンで降り、すぐにもドアが目に入る。我輩は、トイレ以外ノックの常識がない。よって、勢いよくドアを開ける。
「おはようさんでござる! 我輩は、面接の予約をした、大人輝男じゃ。それにしても今日は暑いのう」
唐突に入ったのもあり、右手で額の汗を拭くと、社員は我輩をいっせいに注目した。下品な来客だな、などと思われたのかわからずとも、我輩は、嫌われるのは慣れておらん。
脚に障がいがあったところで、人格などを否定されるのには、敏感に反応するのが、我輩じゃ。足が不自由なのが、何が悪い?その思いに呼応すべく、手前の社員が椅子から立ち上がり、我輩に愛想よく近づいてくる。