◎バブル後半に株と不動産を売る
バブル当時、東京でしごとをしていた。株はドンドン上がる、不動産も都心からスタートして、神奈川、千葉と上昇範囲を広げていった。株はいつか下がると思って利り食ぐい(儲ける)をしながら、不動産にシフトしていった。
不動産は自己資金と借り入れの組み合わせで、比率は、各々50%を目途にした。不動産も下がる怖さがあったが半分にはならないと思った。借金も増えたが、家賃が入るので余裕があった。買う不動産はまわりをよく歩き、調査・確認して決めた。新駅近くの将来性のある場所を選んだ。
予想通り、東京近郊が上がってきた。マンションも抽選待ちが多くなった(最後に買ったマンションは倍率400倍だった)。株も日経平均が4万円近くになった。多くの人が強気だ。
日本経済新聞の社説、日本は世界の金融都市、世界中から人が集 まる、日経平均 10 万円も夢ではない、威勢のいい活字が躍っていた。主婦投資家も話題になった。そろそろ売るころだと思うようになった。
わたしは、方向転換を決断した。ヒントとなったのが、わたしが育った京都と浅草の資産家から頂いた一冊の小さな本、バートランド・ラッセルの『幸福論』(安藤貞雄訳・岩波書店、1991年)である。
株、不動産、大半を売った。銀行株も最高値で何回かに分けて売った(売却資金は自宅の建築資金にあてた)その後、銀行株は、下がり続け、1 割程度に暴落した。