『無知だった領域』

早朝。

「ジジジジ……‼」とアラームが鳴り響く中、規定通りの時刻(6時半)に飛び起き、布団を振り払いベッドを後にする。

既にカッコつける意味も無いが、俺の朝は早い。

昨晩は久しぶりと言うには程遠いが、現実離れした経験からやっと抜け出て、安心できる平和な我が家に帰ってきた。しかし、己の心情はすぐにはそれを受け入れてくれず、いつもと変わらない平日にも関わらず、念入りに部屋の掃除なんかをして気分を紛らわせようとした。

余談になるかもしれないが、起きてから学校登校までは非常時以外で一連の流れがある。

まず朝起きて顔を洗った後、昨日の洗濯物を干すため衣服やタオル等を洗濯機の中に突っ込み「スタート」ボタンを押す。それから洗濯機が1時間くらいガコガコと激しく振動しているので、その間に朝食を作って食べる。朝食のメニューは目玉焼き、ベーコン、ご飯、インスタントの味噌汁、それにプラスしていつもご飯には牛タン味のふりかけをかける。

自分ではなかなか豪華な朝食だと思い、「中坊でも大人びた生活をしている」と勝手に自負している。 

世間からしても、ここまでできる十三歳はそうそういないだろう。

そして、ゆっくりと食べ終わった頃に「ピーピー」と脱水まで行った洗濯機が鳴り響くので、食器を洗う前に洗濯物を中庭の物干し竿に干す。それが終わってから食器を洗い、歯磨きをし、最後に身支度を整えたらリュックを背負い学校へGO。

時には部屋の電気を全て消したか鍵を閉め忘れてないか等を確認するために、家に戻ることもある。

【前回の記事を読む】初めて出会った「同じ力を持つ」人間。同族への忠告と思われたが、その真意は……