お日さまが沈む頃になると、ブギーは村の皆にあいさつをして、山の住みかへ帰っていきます。村の生きもの達は、仕事を手伝ってくれるブギーに、沢山の果実をあげるのでした。

エイミーも、毎日お気に入りの貝がらや自分で育てた花をあげていました。

 

「ブギー、今日もありがとう」

「こちらこそ、いつもありがとう。ではまた明日。おやすみなさい」

山への帰り道、ブギーは皆の喜ぶ顔を思い出すのでした。その度に、ブギーの心は熱く踊りました。村の皆の笑顔が、何よりもの宝物だったのです。

ブギーには、ムンゴという弟がいました。

ムンゴも、頭のツノが空に届くほど、体の大きいかいじゅうでした。ブギーのように村へは行かず、毎日、山の住みかで寝転んでいました。たまに村へやってきては、子ども達をいじめたり、たべものを盗んだり、いたずらをするので、ムンゴは、村の生きもの達から嫌われていました。

それでも、ブギーにとっては、たった一匹の家族、毎晩、山の住みかでムンゴと過ごす時間は、安らぎを与えてくれるのでした。

「どうして兄さんは、あの小さい奴らを甘やかすんだ」

ある日の朝、ムンゴは、村へ向かうブギーを呼び止めて尋ねました。

「好きなんだ。放っておけない。力になりたい。それだけだよ」

ブギーの答えに、ムンゴは納得がいきません。ムンゴは、ブギーも村の皆も、何もかもが気に入らないのでした。