「ええ、おかげ様で。彼とは、徐々に親しさを増していっているわ。この間の日曜日も、彼は私の家に来て、英語の勉強を見てくれたわ。彼はバイリンガルでしょ。だから、英語の発音もナチュラルだし、英文法の説明は日本語でしてくれるし、ホントに良い家庭教師よ。

私、彼のことを尊敬しているの。学校の先生よりも、英語に関しては、彼の方がずっとレベルが上を行っていると思う。私は子どもの時から英語を使える人間になりたいって、ずっと思っていたから、彼のように英語が自然と身に付いている人に憧れがあるのよ。それに、彼は、ホントに実にイケメンよ。彼の横顔には、うっとりしてしまう。

彼の祖先はドイツ人なの。だからドイツ系の血とお母さんの日本人の血が混じって、こんなに美しい顔があるのかと思うほど彫りの深い甘い表情をするの。彼の笑顔を思い出しただけで、天にも昇るほどの幸福な気分になるわ」

「わかった、わかった。リエは正樹さんに、心の底から恋しちゃっているのね」私は言った。

「ええ、そうよ。自分がこんなに男の人に夢中になるなんて、想像もしていなかった」

「勉強のあとは、リエの御両親と一緒に四人で夕食もとるのよね?」私は質問した。

「ええ、そうよ。私の両親も彼のことをとても気に入ってくれていて。彼は、とても明るい性格の人なのよ。絶対にネガティブなことは言わない。人の悪口も言わない。物事に常に感謝の気持ちを抱いていて、とても謙虚なの。それに食事の仕方もきれいよ。人に不快感を与えるようなことは、全くしないの。お箸の使い方が美しくて、とても品がいいの」

「正樹さんは、リエの御両親からも、良い印象を持たれているのね」私は言った。

「父は、正樹さんに満足しているわ。父は彼のお父さんとは、とても仲がいいの。彼のお父さんが、アメリカ人というのは知っているでしょ? アメリカ人なんだけれど、日本に対して、とても理解が深いらしいの。彼のお父さんは、日本のことが大好きなのよ。

それに彼の家族は、とても家族仲が良いんですって。彼の御両親はとてもよく愛し合っていて、お互いに尊敬し合っているんですって。そして正樹さんは御両親の深い愛情を受けて育ったんですって。自分がポジティブで素直な性格に育ったのは、御両親の深い愛情に恵まれて育ったおかげだって言うのよ」

「ふうん。リエと正樹さんは、お互いの理解を深め合っているのね」私は言った。

「ええ、そうよ。正樹さんも、私のことは気に入ってくれているみたい。私のことを賢いお嬢さんって呼ぶの。ただ美しいだけの女性は世の中に大勢いるけれど、真に賢いと言える女性は、そんなに多くはないって。彼は、私は賢明で誠実な女性だと言って、褒めてくれるの。私と彼は、お互いに信頼し合っているのよ」

「このまま順調に交際が続いたら、リエと正樹さん、本当に恋人同士になるかもね」私は言った。

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