しばらくすると、陸ガメの歩く振動が止まった。イムフラはぶっきら棒にラムカに到着したと告げる。
ラムカは、地の国の研究施設内へ連れて行くと言われたが、周りに建物らしき物はなく、地面に巨大な丸い穴が開かれているのが見えた。覗いてみると筒状に地下深く続き底が見えなかった。
イムフラに待つように言われ、待っていると、地面から半透明の卵型の物が顔を出した。やわらかい口のように卵が半分に開いた。
ラムカはイムフラに促され、その口から入ると勝手にまた口は閉じられ、透明の管の中を卵はゆっくりと下って行く。卵のエレベーターのような物に乗っていると、脈を打つような音が定期的に聞こえた。
その頃、ラ・エンカが持つ導き蜂のオスが瓶の中で飛ぶ方向を示し、地の国の兵士に忍ばせたメス蜂を頼りに、イムフラの後を追っていた。
ラ・エンカは、イムフラの兵士に放った蜘蛛を回収後、自分の耳に入れた。兵士から吸収した聞いた物、見た物が、頭の中に映し出され、その中にイムフラ、との会話から『記憶の記憶』を見付け出した。
どうやら記憶の記憶とは、あの少女が持っている記憶で、鍵のようなものらしい。
ラ・エンカは、それが『何を開ける鍵』かまでは分からなかった。だがとても重要なものである事は想像がついた。そして更に見続けるとラ・エンカが、探し求めていた物が見付かる。
「ここにあったのか……エデンの花……」
地の国は、世界の植物のほとんどの品種があるとは聞いていたが、幻と呼ばれる花を保有していた事にラ・エンカは素直に喜んだ。
ラ・エンカは、次にカイゼル達に放っていた蜘蛛を回収し見始める。
ラムカがエイの背中の上でもたれ雲海を漂流している。力なく、うつ伏せになった彼女の体から、湯気のような青白いオーラが漂い、それを見たカイゼルは、彼女を指さし
「空の国の民だ!」
と叫び、次にカイゼルの説明が始まった。
「空の民は、天空にあると言われる幻の国に住む者で、体から青白いオーラを出すのが特徴だ。またエイは空の国を守る聖獣で、空の民は自分のエイを生まれた時に授かるそうだ。顔も画像と一緒だ。この少女で、間違いない……」
とカイゼルは嬉しそうに言っていた。ラ・エンカはここ迄見て、蜘蛛を耳から出すと、雲海を見詰め考えに耽けった。