夜を駆ける――不倫発覚前半――
連係プレー
公衆電話がホールに一台あるが、いつも混んでいる。携帯電話は看護師さんに預けているので。看護師は険悪な雰囲気にいつでも対応できるように、仕事をしながらも様子を見ている。強靭な若者は、電話をかけると声が大きくなる。男性看護師三人、音もなくそれとなく彼を囲む、若者が椅子を持った瞬間、羽交い絞め。それはそれはお見事。素晴らしい連係プレー、職人技だ。
若者の名誉のため。朝二人でコーヒーを飲みながら将来の事を話してくれました。夢、大きな青年でした。
追伸
患者によって担当医は違う。いつもおとなしい背の高い男性は、上から目線の担当医を持ち上げた。先生は自分の背が低いのを油断していた。さすがに連携プレーは間に合わなかった残念。だが、駆け付けるスピードは素晴らしかった。
危険 マック
私が入院していたのは分院で本院には精神科の入院施設がなかった。外科的処置などは本院へ診察に行く。(先生の許可が必要) 内科は一週間に一度、分院へ診察に来てくれます。本院の外科では、リストカットの傷が深すぎて、動かなくなってしまった手のためのリハビリなど。本院から帰りの、マックのテイクアウトは、おいしそうな香りがホールに広がる。若者たちはにわかにどよめく。
テイクアウトの青年は申し訳なさそうに部屋に急ぐ。若者たちは部屋までついて行きドアから眺めている。看護師さんに促されホールに戻る。ホールに戻った若者たちは退院したら、何を何個食べるか競っていた。
追伸
マックの青年はとても大人しく優しい人。若い女の子は、彼のそばから離れない。青年の姿が見えないと、紳士トイレの前で出待ち。そのせいかは分からないけれども、誰も知らないうちに転院していった。
待ち人
笑顔がかわいい女性、40代と聞いていました。おでかけなのか、お洒落して笑顔。取り巻きが集合して出口まで、ゾロゾロとついていく。毎日が平凡なので「どこ行くの?」質問攻めの行列。なぜか、看護師さんは浮かない顔だった。昼食時間に彼女を迎えに階下へ。彼女は帰ってこなかった。彼女は夕食時間に帰ってきた。
追伸
私より入院の長い女性が、以前入院していた男性と仲良くなって、会う気もないのに、待ち合わせると怒っていた。退院した人との電話の取り次ぎはしないことになってはいたが彼女から電話をかけてしまうから、どうしようもないと言っていました。そう言えば、前夜「キスってどうするの」と聞いてきた。私は「そういう時は自然にまかせればいいのよ」とやっと答えた。