大学生気分…乙女だった ―結婚前と結婚後―

新聞紙

私がオバサンになるもっともっと前。

小学校からの下校時。冬も近くなり風と冷たい雨の中。

一枚の新聞紙が水たまりに浮かんでいました。それを見てとても悲しくなり

びしょびしょの新聞紙を拾い上げた瞬間に涙がこぼれ落ちました。

その新聞紙には、母の笑顔が映っていました。

何かの広告に母の笑顔が一緒に映っていました。

家に持って帰り母に見つからないように、机の上に広げて乾かしました。

びしょびしょの新聞紙の自分の顔を見たら、母が悲しむだろうと思ったから。

そして机の中にしまいました。

追伸

母の心からの笑顔の写真、今思い返してもあれが最後の笑顔の写真だった気がする。

作り笑いの写真はいっぱいある。

遺影を探すとき、姉が「笑顔の写真ないね」と寂しそうに言っていた。

オバサンは、若い頃の写真を遺影にすることに決めた。

最期ぐらい写真を盛っても、加工しても誰だか分からなくてもそれはそれで面白い。

私が本を好きになったのは、

兄が自分で買った本に所蔵印を押している姿が羨ましかったから。

所蔵印を兄の机の引き出しから勝手に持ち出し、新聞紙、絵本、色々なものに押した。

大人になった気分。

兄に見つかり「所蔵印は所有者が本に捺印して、所有、所蔵を宣言する印だ」

私の頭では理解できない説明を熱弁し、そんな自分に酔っていた兄。

追伸

小学生のとき、漫画本など買ってもらえなかった。

貸本屋へ保険証を持って借りに行く。

大事な保険証、母は後を付いてくる。

母は決して店には入らず、戸から顔半分出して私と保険証を見ていた。