役割分担をさせる

家事の手伝いをさせていると、子供は、必ず「同じ事のくり返しを続ける事」がつまらなくなり、「自分が考えた遊び」を始めたりする。その時に、言われた事、やるべき事を完遂するように叱らねばならないのだ。

また、どの家庭にも、トイレはあるし生ゴミも出る。主婦だって誰でもがトイレ掃除が好きとは限らない。生ゴミの処理だって簡単ではない。生きているからには、汚いものも出てくるということを知らせておき、子供に手伝わせることも重要なのである。子供のあとについて、玩具を拾い歩いたりするような母親の子が、自我が弱くなるのである。

だから、私は「自我が弱いために低学力」の子の親には、ともかく、家で“役割分担”をさせることを勧めるのだ。そして、養育者が私の進言した通りの努力をすると、子供は百%低学力を脱け出せるのである。親の努力があれば小学校一年なら半年位で良くなる。もう少し時間がかかる場合もある。母親の取り組み方が弱い場合と、子供の学年が二年生以上になっている時だ。

早く見つけ出し、周囲が努力するなら、普通の子に育つことができる子が放置されている場合が多いのである。

見分けにくい学習障害と自我脆弱

私が、この書を記そうと強く想った動機の一つに、

「学校の先生に学習障害と言われました」

「……医師にアスペルガーと診断されました」

と親御さんが連れて来るお子さんの大部分は、学習障害ではなく「自我の形成」が何らかの理由で遅れている子だったということである。

ゼロ才から三、四才位までの間に、言葉のかけられ方が少なかった子―情緒的に抱きしめられる事の少なかった子―従って、他者との係わり方が薄く、世界認識に欠陥を持った子―このような子たちは、たしかにいる。そして、そのような子も、顕在化するのは小学生になってからの学習能力の欠陥という形である。

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