第2章 家族 ~私を支えてくれた人たち~
長男とお嫁ちゃん
ラジオを聞いていたらあるキャスターが「相手の気持ちを慮れる人ですね」と話していた。話の前後から意味は分かるがビビッと来た言葉で思わずググってみると、【相手の気持ちや状況を理解できる人】という意味であり、その言葉にピッタリの人物の顔が浮かんだ。
それは直太朗のお嫁ちゃんだ。お嫁ちゃんの前に直太朗のことを一つ書いておこう。直太朗の3歳の誕生日が手術の日であったことは前にも書いたが、術後は再発に怯え「直太朗のランドセルの姿は見られるのだろうか? 花嫁さんにはお目にかかれるだろうか?」と考えた時期があった。
月日が流れ直太朗は27 歳で結婚をした。性格はバスケ一筋でガンガン前に進んでいく脳みそは筋肉タイプ。部活で根性は鍛えられたようだが身の回りの始末はどうしたものかと思うほどに片づけが苦手。
大学に入るとアルバイトで小遣いを貯めてはバイト先の先輩と海外旅行三昧。部屋が狭く家での居心地が悪いこともあり、あっという間に家から出て行き「よし! 自立したぞ」と思うとすぐに結婚をした。自立ではないのかもしれないがとにかく賢くてかわいい、しっかり者のお嫁ちゃんで直太朗の心配は皆無となった。
結婚式は南の島で行い、かわいい花嫁さんと二人で並ぶ姿を見ると、直太朗が3歳の時に思っていた「花嫁さんに会えるのか?」が実現し、嬉しくて大はしゃぎする花婿の母となった。ケンさんが「すみません、嬉しくてしょうがないんです」とお嫁ちゃん家族にお詫びしていた。
「いつまでも二人仲良くやってくれ」と願う。