第6話 投資マンションの安定経営で最も重要なのは「管理」であるということ

もう少し、このマンション管理について述べてみたいと思う。マンション管理は大きく2つに分けられる。

1つは、マンション本体の管理である。居室部分、つまり躯く 体たい(建物の骨組み)で区画された住戸の内側を「専有部分」というのに対して、それ以外のスペースを「共有部分」という。

具体的には、躯体そのものの他、エントランスやエレベーター、廊下、ごみ置き場、駐車場、更には外壁や給排水ポンプ、インターホンなどがこれにあたる。この共有部分の管理業務を行うのがマンション管理会社になる。

A社倒産後、この業務を請負ったのがD社である。マンション管理においては、多くの場合、管理組合がマンション管理会社に管理業務を委託している。3つの物件とも現在もD社が管理を行っている。

マンション管理会社は様々な法律に基づいた管理を行っている。マンションの価値をいかに下げることなく維持していくか。修理や修繕、細かいところでは集配物散乱などの清掃、植栽された樹木の管理も業務になってくる。

そして最も大切な業務の1つが法律に基づいて行われる定期点検と大規模修繕に向けての対応である。

修繕積立を計画的に進めていき、15年から20年に1度行わなければならない点検と必要に応じた修繕等に備えていかなければならない。この大規模修繕に向けた積立金の多少がマンションの価値を左右するとも言われる。

管理組合と管理会社との協議の場である理事会で計画を練り、総会で決議していく。A社倒産時は、この積立金が流用されており、倒産時はまさにゼロからの出発であった。

それからおよそ10年ちょっとで、3つのマンションとも、やがて来る大規模修繕への対応に必要な資金確保の目処が立つようになった。D社の綿密なシミュレーションにより、計画的な資金積立プランを管理組合に提案していただいた成果である。

各居室のオーナーは、このマンション管理会社へ管理費と修繕積立金を合わせた金額の支出を行わなければならない。現在(2022年7月末)、中央区平尾Aが8000円、南区高宮Bが6220円、博多区博多駅東Cが7980円となっている。家賃との比較で見た時、少なくない額である。

しかし建物の価値の維持につながる部分でもあり、適正な金額設定が不可欠になる。

これまでにそれぞれの物件とも積立金の見直しを行ってきた。マンション管理会社との良好な関係性は非常に大切であり、また管理会社も、法律に基づいた適正管理の能力が求められる。

 

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