【物語詩】で届ける不思議な世界

「魔女の子ケイティー」 

魔女の子ケイティー いじめっ子

村はずれの森 魔女の家

毎日ぶつぶつ 呪いの勉強

イヒヒ 今日は誰呪おう

パン種 すっぱくしてやろうか

誰かに怖い夢 見せようか

魔女の子ケイティー いじめっ子

森の中ぽつんと 小屋暮らし

魔女の子ケイティー 独りぼっち

使い魔 黒猫だけが伴

どこに行くにも黒猫一緒

誰もあたしに近寄らない

お前が一緒なら それでいい

誰もあたしを分かってくれない

魔女の子ケイティー 独りぼっち

誰もいない空 猫と飛ぶ

魔女の子ケイティー さみしがり

今日はハロウィーン 魔族の日

魔女のパーティ 呼ばれてく

オホホホ 赤子の生血は飲んだ?

あの村 全滅 流行病

まあまあ あんたは何できて?

魔女の子ケイティー さみしがり

のけ者 邪魔者 おちこぼれ

魔女の子ケイティー 寄る辺なし

人にも魔女にも居場所ない

すごすご帰る 闇の夜

あたしに人は殺せない

魔術の勉強したいだけ

誰もそのこと分かってくれない

魔女の子ケイティー 寄る辺なし

飛ぶ気になれず とぼとぼ歩く

魔女の子ケイティー 人みしり

野原の真ん中 ジャック・オー・ランタン

お化けに扮装 どこかの村の子

みんなに目隠し 連れ出され

ぐるぐる歩いて置き去りされた

うちがどっちか分からない

魔女の子ケイティー 人みしり

闇にまぎれて 知らんぷり

そのとき使い魔 にゃぁっと鳴いて

村の子供に走り寄る

ケイティー止めても もう遅い

お姉ちゃん ここどこ知っている?

見かけないけど どこの人?

なんで独りでここいるの?

ケイティー困って 空見上げると

魔女たちご機嫌 夜空をご帰還

使い魔たちも 飛び回る

ケイティー慌てて 子供をつかんで

杖をひとふり 呪いをかける

げこげこ蛙をつかまえたとき

おやおや ちびちゃん何してるのかえ

空を飛ぶのもできないの

蛙と猫の相手が似合いね

魔女たち 空で大笑い

使い魔引き連れ 遠ざかる

ケイティーほっと 一息ついて

杖をひとふり 蛙は子供に

そのままほうきに ぽんと乗る

ねぇ待ってよ 僕いま変わった?

お姉ちゃんが 今のやったの?

お姉ちゃんって ほんとの魔女なの?

【前回の記事を読む】詩集「まかろんのおもちゃ箱」より三編