2.母の呪文からの解放
母の期待を裏切る
高校生になって習い事をやめ恋愛にのめりこんだ。母の期待を裏切った。高校では私よりずっと勉強できる子、ピアノの上手な子、破格のお嬢様はたくさんいた。何だか、急に力が抜けた。頑張るのが嫌になった。
一年生の時に好きになった男子に毎日お弁当を作り、初恋を釣ろうと思っていたが、告白して見事に撃沈した。うらぶれて美術部の庭で絵を描いていると毎日、部室の屋根の上から自作のラブソングを歌って私を口説く男が現れた。失恋して心が弱っていたから簡単に恋に落ちた。恋に落ちると成績も落ちた。高校生女子あるある。
彼は不良っぽく悪いことは率先して行うが、部活のリーダーでもあった。なのに、修学旅行で飲酒発覚、停学をくらった。
「彼女のくせに彼をしつけない」
と私を怒る人もいた。でも、彼は人懐こくて憎めないキャラだった。
「愛し合っているならセックスできるよね」
と経験者の彼。デートのたびに勝負パンツを履いてみたが怖くてその一線を越えるとかいうのができなかった。そんな時、授業中に彼が友人に私の秘密を話しているのを聞いた男子が、私に忠告してきた。
その男子、交際している彼女もいて自分のことでもないのに
「別れた方がいい、あなたは傷つけられている」
と心配してくれた。ありがたかったけど悲しかった。すぐに別れる決心はついた。もう大学受験が目前だった。成績はガタ落ち、志望校に届く成績ではなくなっていた。