【前回の記事を読む】胃カメラ検査のすすめー胃の不快感の原因を自己判断するのは禁物!
CHAPTER2 内視鏡検査があなたの胃腸を救う
胃カメラ検査のすすめ
「つらくない」内視鏡検査には2つの技術が必要
胃カメラ検査が「つらい」「痛い」と思われてしまっているのは、主にカメラを口から入れるときの反射が原因です。
胃カメラを検査のために口から食道方向に挿入する場合には、舌根といって舌の根っこ部分をどうしても圧迫してしまいます。その刺激で「オエッ」と反射が出てしまうのは多くの患者さんに見られる反応です。むしろ医学的には、この反射が起こることは喉が正常に機能しているからこその反応だといえます。
ひとりでも多く胃がんで苦しむ人を救いたい、それが私たち内視鏡を行う医師の願いです。そのためには胃カメラを定期的に受けてもらうことが大切です。胃カメラ検査を受ける人の心のハードルを下げるために、「つらくない」「痛くない」2つの技術で日々私は取り組んでいます。
①鎮静剤を使った無痛検査
検査を受けるときには誰もが多少なりとも緊張しています。胃カメラを入れるとき、緊張が強いとどうしても喉やおなかの張りの症状が出てつらさを強く感じてしまいます。このつらさのために検査を受けたくない人やほかからの噂で検査を不安に思っている人もいます。
でも、胃カメラ検査を受けたいけれど、検査の不安を少しでも和らげてほしい、少しでもつらくない検査をしてほしいとご希望される方もたくさんいます。つらくなければ、できるだけ定期的な検査を受けて安心して生活したいと願って受診される方も多くいらっしゃいます。
そこで、私のところではご希望される方には患者さん一人一人に適した量の鎮静剤を調合して、少しうとうとする程度で検査をできるように医療体制を整えています。目が覚めたら検査はすべて終わっていて、とても楽だった、つらくなかったと言われる方が大勢いらっしゃいます。
かつて愛知県の名古屋エリアの病院に勤めていた頃のことです。当時私は外科医でしたが、その病院には麻酔科医が少なくて外科医が麻酔業務もこなしていたことがありました。このときの経験のおかげで、麻酔科標榜医という国家資格を取得でき、内視鏡の麻酔鎮静にも非常に役に立っています。
この鎮静剤の調合は国立がん研究センター中央病院で内視鏡検査や治療をしているときに研究開発した鎮静麻酔方法で、世界的権威のある雑誌にも掲載され、日本内視鏡学会の鎮静ガイドラインにも引用されています。つらくない検査を安全に行うことができるので、多くの皆さんにつらくない無痛検査を行っています。