表現しないと生きていけないから:次男の言葉
一方、きっかけとなった次男は、五歳の時から毎日絵を描き、家の中は彼の描いた絵がびっしり飾られている。
鳥がモチーフの彼の絵。独特ですごい迫力だ。そして色々考えさせられる。
中学校で美術部に入ろうとしたが不登校生は入部できないと言われ、美術の授業が嫌いになった。彼は独学で描き続けている。次男の絵は、芸術を学べる高校の先生の目に留まり、絵を見ての丁寧な感想が書かれたお手紙に励まされて、彼は絵を描き続けていくことを決心した。
私は、「どうしたらそんなに描き続けられるのかな」、次男に聞くと、「表現しないと生きていけないから、生活の一部だから」と。そして続けて強く私に言った、「お母さん、一番大事なことはやめないこと、苦しくてもやり続けることだよ」と。
驚いた。
さらに「書くと決めたのなら表現を依存症にすることだね」と笑った。
一体何歳なの君は。どういう苦労をしてきたらそういうことになる? そう思いながらも深くうなずいた。
子どもは、すでに、自分とは全く違う価値観を持ち、すでに母親の知らない遥かな世界に行っていたのだ。子育てって、こんなすごい経験をすることになるのね。産んだ時には想像もできなかった。