A社倒産後の自らの動きをインターネットで発信しているオーナーや情報交換の場として組織された「オーナー集いの場」の存在を知ったのもこの時であり、更に強い広がりを求めて全国に散らばるオーナーの方々と連絡を取り合うことができ、後日会うこととなった。

A社がなぜ倒産したのか、そして今後どうなっていくのか。「オーナー集いの場」関係者の話から、我々の知らなかったことをいろいろ聞くことができ、彼らが今後どうしていきたいのか知ることができた。

彼らの話は刺激的であり、またスケールの大きな話でもあった。心強さと共に新たな仲間を得たことに今後に向けての光を感じた思いがした。自分の周りにいるオーナーにもこのことを伝えたい。

私たちは他のオーナーにも呼びかけ、後日学習会を開くことを計画した。10名を超えるオーナーが集まった。講師として改めて「オーナー集いの場」の関係者をお呼びした。私たちが訪問した時から日が経っていたこともあり、前回の内容から更に発展した内容の話を聞くことができた。

第3話 悲劇を通して投資マンションの世界を知った

A社倒産後のこのような様々な人達との関わりの中で、投資マンションの仕組みや投資マンション業界のこと、更には国内経済の大きな動き等々、いろいろな知識を得ることができた。

特に投資マンション関連では、デベロッパーと呼ばれる開発業者があり、外資を含めた大きな資本をもとに造成、建築、販売を手掛ける。この他にも建物管理を行う不動産業者、賃貸管理など入居者管理を行う不動産業者、更には中古物件を売買する不動産業者もある。ファミリーマンションも含めれば、「マンション」を真ん中に、実にたくさんの人・企業・お金が渦巻いていることを知った。

外資マネーの投資が不動産に向けられ、様々なバブルを生み出す。不動産バブルと呼ばれるものである。この大きな渦の中に投資マンションオーナーとして我が身も置くこととなった。

A社倒産後にマンション関連の「業界」の存在を痛感したのは、中古物件を取扱っている業者からの保有物件の売却を目的とした売却斡旋の電話営業であった。どこで知り得たのか、特に週末になると不特定多数の業者から電話がかかってきた。

弱みにつけ込むかのような内容のものや、威圧的なもの、買い叩くかのような金額を提示するもの等、執拗な電話によるセールス攻勢は、借入残高を大きく下回る売却金額では断わらざるをえず、かなりのエネルギーを費やすことになった。