二 自宅療養

自宅療養は、入院よりももっと孤独であった。朝、家族が仕事に出かけると、家に残るのは私一人であった。病院では、医師や看護師と話をしたが、自宅療養ではそれがなかった。でも、私はその時間が少しも嫌ではなかった。やらなければいけないことがたくさんあったし、気持ちの充実もここ何年間の中では最高であった。

実際、朝食を食べ、新聞をじっくり読み、トレーニングをし、間食し、授業の準備や調べをし、妻が作ってくれておいた昼食を食べ、また調べをしたりトレーニングをしたりしていると一日は充実して過ぎていった。

唯一私を悩ませたのが食事であった。特に、朝食が苦しかった。起きたばかりの体は働きが悪く、かなりゆっくり食べているつもりでも、消化吸収に時間がかかる。今日は調子が良さそうだと思ってほんのちょっと早く食道に送ると、詰まってしまうということがよくあった。まさに、自分の体で実験をしているようだった。職場復帰までに、朝食がしっかり食べられるようになることが最大の課題になった。

いろいろな調べについては、この時もインターネットが大活躍してくれた。私が調べたいと思っていることはほとんど調べることができた。

職場復帰の日が来た。一ヶ月ぶりである。久しぶりの学校で緊張していたが、職員も、子どもたちも、みんなが笑顔で迎えてくれたので、嬉しさで一杯であった。

私は、級外の職員で、いくつかのクラスの理科や社会や算数を教えていたので、同じような挨拶を何回もしたが、まったく苦にはならなかった。それどころか楽しかった。今日からまた教師の仕事を頑張っていこうと思った。