(2)首相公選制について
日本は議院内閣制をとっている。明確に議院内閣制を定めたのは戦後公布の日本国憲法である。議院内閣制はイギリスをモデルにしており、世界では議院内閣制と大統領制と2通りに大別される。
議院内閣制では衆議院議員と参議院議員の本会議での投票により総理大臣を選出する。これを首班指名という。衆議院と参議院で多数を有する政党の党首が選出されることが普通である。
衆議院議員と参議院議員は国民の普通選挙によって選出される。従って多数を有する政党は国民の選挙によって決定される。であるから国民の投票で選ばれた衆議院議員、参議院議員の投票により選出された総理大臣は間接的には国民に選ばれた国のトップであると言っていい。
しかし、直接国民の投票によって国のトップを選んだほうがいいという意見は昔からあった。そのほうが感覚的に総理大臣との距離が近くなるし、基盤のしっかりした国のトップが政治の采配を握ることができる。政権が安定するということであり重要なことである。
前述した通りに、そのほうが国民と総理大臣との距離が近くなるし、自分たちの選んだ政権にある程度の責任を持たねばならなくなるだろう。それだけに今よりは基盤のしっかりした政治ができると考える。1年おきに国のトップが変わるような異常な状態は決して国益に資していない。国際的にも国のトップが次々に変わっていくことは日本のためにならない。国際的な舞台で日本の政策や考え方を主張して理解を得たいと思っても、なかなか容易ではない。そういうことで、私は議院内閣制よりは首相公選制で国のトップを選出したほうが国益に繋がると思うのだ。
日本国憲法では衆議院と参議院で投票により総理大臣を選出することを定めている。ここを変えていくには憲法改正が必要であるが容易ではない。従って、総理大臣を選出する選挙を可能にするために公職選挙法を改正・施行し、その選挙を実施する。それで選ばれた方を衆議院と参議院で対立候補と共に投票するのだ。
ただ、この場合、国民が選んだ方と衆議院、参議院で選んだ方が一致しない可能性が生じる。この部分が問題だが、ねじれ現象は政治の世界ではよくあることで、民意がそうだとすれば致し方のないことかもしれない。
以上を述べて、私は総理大臣を国民の投票で選ぶ首相公選制を実施していくべきと考える。