又、引っ越し。間借りよりマシ? なのか6畳一間、流し付きのアパートだった。私は小学6年に。城東区にある聖賢小学校。5年生から通学していたが6年になる今は校区外、でも学校の計らいで特別に続けることに、あまりに転校ばかりなので、が理由らしい。

正直、私にはそれが良いのか分からない……だって通学時間は倍程になって、慣れてはいても一人で通う路はより遠かった。転校すればいつも待ち受ける洗礼、今回はクラス替えでほとんどクラス中の生徒にからかわれていた私に、そこにも天使が居てくれた。彼女は皆に宣告したのだった、

”アンタラ、云いたいことが有ったら私が相手や、堂々とかかってこいや!”

と。なんと男らしい女の子、声の迫力、私までもたじろいだ。彼女は学校近くの大きな建材店のお嬢さん、名前は陽子ちゃん。確かお兄さん2人で1人女の子と云う末っ子、周りは殆ど屈強な男性、さすがなのだ。いじめられたらアカンからと、しばらくは途中まで一緒に下校してくれる。私に一円のお金が無くても、何も気にせず、映画や、食事やと連れ出してくれる女親分だった。

どういう訳か何の気兼ねも感じさせられることも無く……。彼女とは15年間親友……私のせいで15年で終わったが。彼女の怒りは私の生き方に有った。同い年である私達、お互い結婚し、授った子も同じ3、4才に成長し”これから時々会おう”と再会を喜び合っていたのに。

程なく私が養母と未い まだ〝親子〟として縁をつないでいるのを知り

「あんたのこと解れへん! なんであの人が美夜ちゃんの側に居てんの、あんた、自分がどんな目に遭ったんか解ってんの!」

と。垣間見るあの頃の私の来し方は、彼女の内の義侠心が私の断ち切れぬ絆を許せぬ怒りで有った。