「あなた見て。この写真の華ちゃんすごく可愛いしあなたも若いわ♡ お洋服のクローバーとても可愛いわぁ~。きっと華ちゃんへの思いを込めてくれたのね」
奥さんのするどい発言に俺は焦った。
「そっそりゃ~そうさ、てんとう虫姿の華ちゃん可愛いだろう。十年前の俺だもん若くてかっこいいだろ~」
写真の入っていた封筒にメモが入っていた。俺からだろうが正直まるで覚えがない。
「華ちゃんここへ来てくれてありがとう。まだ若いパパより」と書かれてあった。
十年前のお別れの直前、真実の書かれた手紙の内容を受け入れるだけで精一杯だったはずの俺だから無意識に書いて入れたんだろう。今見ても思い出せない自分からのメモだった。
「あなた、私たち幸せね。あなたと会えてやっぱりよかったわ」
「やっぱりってなんだよ! 変な言い方するな」
「ごめんなさい。わたしあなたに出会えて結婚できたから、いまこんなに幸せで素敵な体験ができてるんですもの。あなたのお父様にも華ちゃんにも感謝感謝だわ」
俺は内心「華ちゃんは特別なにもしてないぞ」と奥さんに突っ込みを入れていた。奥さんは俺の好きなはにかんだような笑顔で笑ってくれた。
「そうだ、写真を撮ろう」
俺たちは写真館へ行き、三人でこの不思議な体験を忘れないために記念写真を撮った。どうしてこんなにややこしいことが俺たちの身に起こったのかわからないけどこれで本当に一件落着。こんな変な体験はもう二度とごめんだ。