取引先は国立大学

リコーに入社してからは、ずっと営業一筋でやらせてもらいました。主に担当したのが国立大学のネットワークシステムへの入札です。

NECにいた頃も入札にかかわることがありましたけれど、私たちが直接入札をするのではなくて販売店さんが入札をしていましたから、私自身が直接入札することはできなかったのです。その点、リコーは直売をするメーカーでしたから、私が立案した保守・管理プランで入札できるわけです。

大学のシステム保守・管理の委託業務が示されると、社内申請や、上司の承認を経て、担当者が入札します。それまで、経験したことがなかった入札ビジネスは新鮮でした。

「こういうビジネスもあるんだな」と、そのおもしろさに目覚めるとともに、現在のビジネスに必要な基礎を築くことができたと思います。

リコー在職中は全国のセールスランクに何度も入り、表彰されました。営業セミナーの講師を依頼されたこともあります。私の営業ノウハウを小冊子にまとめ、大学営業用ツールとして活用されたこともありました。

もちろん、それまで経験したことがなかったことにチャレンジしたわけですから、努力なしに果実は得られません。試行錯誤をくり返し、私なりにネットワークシステムについて学び、NECのシステムエンジニアで培った経験を生かしたことが結果につながったのでしょう。

「国立大学にものを売るためには、どうしたらいいんだろう?」

当初は悩みましたが、初心にかえれば自ずと答えは出ます。お客さんがなにを求めているのか知らなければ、ものは売れないということ、顧客のニーズを把握することです。まず国立大学の組織について理解し、取引先に足繁く通って、たくさんの先生方、関係者の方との出会いを重ねていきました。

のちの成功につながる努力を積み重ね、結果を出しはじめていた頃、不運にも重い病気が見つかり、私は療養を余儀なくされたのでした。入社から3年めのことだったと思います。