小説 『信長様と猿』 【第5回】 ヤマダ ハジメ 内通者をあえて泳がせる――書簡を何通か並べた信長は、笑いながら藤吉郎に問うた。「猿、この書状、どれが本物かわかるか?…」 儂は、草履取りの雑用係から日頃の忠義と実績が認められ武士の足軽に取り立てられた後、桶狭間の合戦に於いては、足軽組頭として出陣していたな。その頃の信長様との会話を想い出すとこんな秘話があったわ。「殿、桶狭間の戦ですが、拙者も組頭として参加しておりました。勝てる相手とは思えないほど兵の差がありもうした。確か今川勢1万2000に対し織田勢はわずか3000あまり。どうして勝てたのか、未だにわかりません。…
小説 『who am I』 【第29回】 千戸 嶺 『#家族時間』『#大切な人たち』…店に通う客のSNSを発見。妻は元アイドル、彼はテレビ業界で活躍する男だった。 【前回の記事を読む】大学1年の秋、夜の世界に入った。ホステスの仕事では、酒より大事な能力が「会話」だった——1番重要なことは……人間というのは、自分の話を聞いてくれる存在が好きだ。自分のことが好きな人が好き。そして、尚且つ話を聞いてくれる存在はもっと好き。『ふり』と『本物』の区別がつかない人間が大多数である以上、『ふり』の方がコスパがいい。『本物』の共感はコストがかかる。『本物』の関心は疲弊する…