小説 『信長様と猿』 【第5回】 ヤマダ ハジメ 内通者をあえて泳がせる――書簡を何通か並べた信長は、笑いながら藤吉郎に問うた。「猿、この書状、どれが本物かわかるか?…」 儂は、草履取りの雑用係から日頃の忠義と実績が認められ武士の足軽に取り立てられた後、桶狭間の合戦に於いては、足軽組頭として出陣していたな。その頃の信長様との会話を想い出すとこんな秘話があったわ。「殿、桶狭間の戦ですが、拙者も組頭として参加しておりました。勝てる相手とは思えないほど兵の差がありもうした。確か今川勢1万2000に対し織田勢はわずか3000あまり。どうして勝てたのか、未だにわかりません。…
小説 『大人の恋愛ピックアップ』 【第227回】 八十島 コト やはり妻はシた側だった? 死に際に何度も呼んでいたのは、知らない男の名前で… 【前回の記事を読む】亡き妻の不倫相手は誰だ?…自分の不倫はさておき、弔問客の中からやましい男を探し出す日曜日の夜に大阪のマンションに戻り、翌日の月曜日から、いつものように出勤した。達郎は、部下を伴って昼食に出た。途中の大阪駅前第二ビルと第三ビルの間で、交通事故があった。ちょうど、救急車が来て、けが人が運ばれるところだった。智子もあのようにして、運ばれたのだろうか……ついつい達郎は、智子が運ばれる…