【前回の記事を読む】「他人の意見に流されてしまう」人が共通して持つ「記憶」とは
愛の欠乏が他人軸を加速させる
自己否定を克服して自分を愛するために多くの人がやっているのが「理性や意志の力でポジティブな気持ちに切り替える」工夫をすることです。
たとえば「いじめる人を憎んでも私のレベルが下がるだけだから忘れよう!」「世の中にはもっと厳しい境遇の人だっているんだ。私なんてまだマシ!」と考えたり、「子供を愛していない親はいない。私のために良かれと思って叩いたんだ」と正当化して許そうとしたり、「これも私の魂の成長のために必要な修行だったんだ」と、むしろ良いものだと思おうとします。
また、「私は自信に溢れています」「私はありのままで素晴らしい」などのアファーメーション(前向きな宣言文)を毎日唱えて自己暗示をかけようとしたり、ネガティブな感情や思考が出てきたら意思の力でグッと抑えて前向き思考に切り替えようとします。
ポジティブになる工夫はとても良いことです。前向き思考の人は、過去を引きずって後ろ向きに思考する人よりも何倍もストレスに強くなり、落ち込みや自己否定も少なくなります。けれど、試したことがある人なら分かると思いますが、これらの対策はある程度までは改善が見込めても根本解決にはなりません。しばらく経つとリバウンドしてまた元の他人軸な思考に戻ってしまうのです。
その原因は、自分の本当の気持ちを否定して意志の力で抑えつけているからです。これでは「あるがままを無条件に受け入れる=自己愛」にはならないため、愛の欠乏は消えません。また、潜在意識下にある否定の記憶に含まれた当時の痛みや感情は、手当てされずに残ったままです。だから根本解決にはならないです。
つまり、意志の力でやる【自力】の改善法には限界があるのです。
だからこそ私は他の方法を推しています。その方法とは、人知を超えた存在の【他力】を借りるやり方です。その存在こそ「ハイヤーセルフ」なのです。
ちなみに、否定の記憶に紐づいている心の痛みや感情に必要なのは、意思の力でねじ伏せたり、がんばってポジティブカラーに塗り替えることではありません。どんな痛みも感情もあるがままに受け入れて、愛を与え、癒してあげることです。それが本当の自己愛であり、これもハイヤーセルフの力を借りることで可能となります。