~心の火傷~
まひるは、凛からあの日の事を聞いた。まだ、はっきり思い出せていなかったからだ。凛は優しく教えてくれた。
あの日、お互いの家族が集まり、バーベキューをしている時にガス漏れによる爆発で火事になり、まひるだけが奇跡的に助かった事、この家は元々凛の家だった事、隣にあったまひるの家は、今は洒落たアパートになっている事。ただ、まひるとヒカリがこの家に引っ越してくる事は凛も驚くほど偶然の出来事だった。
まひるは、凛に肩を抱かれて静かに話を聞いていた。時折涙が溢れて聞いていた。
「凛、ごめんなさい、私だけ」
と、心から謝った。そして、今までの偶然の出来事が、全て何かに守られていた事にまひるは、感じていた事を話すと、凛は静かにうなずき、まひるの肩を抱いた。
~解けた氷~
朝から不自然な2人をみて、ヒカリは何かを悟った様だった。薄笑いをしながら、2人に聞こえる様に
「今日は、なんだか静かだね~。何かあった?」
まひると凛は不自然な態度で、
「いつもと同じだよね~」
と、2人して慌てて答えた。まるで、大人をからかって遊んでいる様にも見えるが、ヒカリなりに2人が仲良くなった事が嬉しかった。まひるとヒカリを送り出し、凛は思わず大きなため息をつきながら、クッションに顔を埋めて嬉しさを止められなかった。まひるも仕事中上機嫌で、同僚や看護師たちに怪しまれていた。新米看護師が
「何かいい事でもあったんですか?」
と尋ねてきたが、まひるは、にやけた顔を引き締め
「何もないわよ! 今日も頑張らないとね~」
と言うと、助教授が学会で発表する資料を持って来ていた。まひるは休む暇なくまとめていると、横に凛が居た。
「1人では大変だろう。手伝ってあげるよ!」
まひるは慌てて
「此処にどうやって、入って来たの? みんなに見つかるじゃないの?」
凛は優しく笑いながら
「俺、幽霊だから、まひる以外には見えてないの。OK?」
それからしばらく凛は手伝いに来てくれて、仕事がはかどり、帰りは凛と帰る日が続いた。周りで見ていた同僚達は、
「最近まひる先生独り言多くないか? 疲れてるのかな? 少し、代わってあげるか」
と囁いていた。
ヒカリが学校から帰ってきた。いつもの、ヒカリの明るさが無く、学校からのプリントをわからない様にゴミ箱に捨てていた。凛にはわかった。授業参観日のお知らせだった。やはり、大人ぶっていても10歳の少女だ。まひるが忙しい合間に学校行事に参加しているのは分かっているから、ヒカリは尚更まひるを10歳なりにいたわってるのだった。