不変を望むは

うだるような暑さの中、去年の冷夏を思い出す

もはや不変なものは何も無いということを

空のあの雲もまた、いつも同じような形なるに

全てがどこか違って浮いている

山からの景色も、いつも同じ形ながら

どこかが少しずつ変化している

まして人間たるもの、一つの細胞が生まれ

一つの細胞が死んで行く、そして思考は変わる

不変なものは美しい、と変わらぬ想いを望むのは

幼な児の一途さをたたえるようなもの

森羅万象のきまりを無視するようなもの

がしかし、信じていた変わらぬ想いというものを

変えてしまったと悟った時の、何という

深く、やりきれない寂しさ、生きる気がしないような ──

「 サンタエウラリア大聖堂 」 (スペイン、バルセロナ)
─ 油彩、F10 ─