不変を望むは
うだるような暑さの中、去年の冷夏を思い出す
もはや不変なものは何も無いということを
空のあの雲もまた、いつも同じような形なるに
全てがどこか違って浮いている
山からの景色も、いつも同じ形ながら
どこかが少しずつ変化している
まして人間たるもの、一つの細胞が生まれ
一つの細胞が死んで行く、そして思考は変わる
不変なものは美しい、と変わらぬ想いを望むのは
幼な児の一途さをたたえるようなもの
森羅万象のきまりを無視するようなもの
がしかし、信じていた変わらぬ想いというものを
変えてしまったと悟った時の、何という
深く、やりきれない寂しさ、生きる気がしないような ──