【前回の記事を読む】「課長、この提案は無理だと思います」…それでも“肯定”できますか?
第1章 古くて新しい概念「絆ポイント」
2「絆ポイント」の増減
1 「肯定」
形はどうであれ、他人、特に「下位者」の「意思・感情のアウトプット」をまずは「肯定」すること
「ありがとう」と同じ強度で、人のモチベーションや幸福感を上げることができる「肯定」のコトバをもっと積極的に使いましょう。それだけで「絆ポイント」が貯まります。
◎「課長、この提案は●●様には無理だと思います」
◎「今勉強しても頭に入らないよ、今年のインターハイにすべてを賭けているんだ」
◎「女性でも管理職を目指せ、なんて急に言われても、今までそんな気持ちで仕事してきたわけじゃないのに……」
そんな「意思」や「感情」のアウトプットに対して、どんなリアクションができますか? この三つのアウトプットに対して、反対の感情や意見を持っているとします。
まず一つ目「この提案は無理だと思います」に対して。
➡「最初から『できない』って言ったらダメだよ。まずはやってみて。提案してみてから軌道修正だ」と返した場合。
この発信の語尾から推察すると、最初の「無理だ」という進言は、おそらく部下が上司や先輩に対して発した言葉でしょう。その進言に対する上司や先輩のこのリアクション。回答そのものは正しいかもしれません。
しかし、その勇気ある進言をこのような形で返した場合。そして、そんなやり取りが繰り返された場合。
勇気があった(敢えて過去形にします)この部下は、自分が感じたことをありのまま発言することがなくなります。どんなに丁寧な言い回しであったとしても、主旨は「反対意見」。「ノミにガラスのコップを被せると、そのコップが取り除かれたあとでも飛ばなくなる」話は有名です。
「どうせ、言ってもやらされるだけ」「どうせ、私の意見は間違っている」「どうせ、言っても否定されて嫌な想いをするなら言わない方がマシ」
当然、そういう思考回路になります。
結果、この部下のパフォーマンスは落ちます。こんなやり取りが積み重なれば休職したり、退職したりしてしまうかもしれません。