本書には、中国企業や中国のビジネスパーソンが頻繁に登場します。まさしく昇龍の勢いで世界経済の一方の主役となった反面、香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区における人権弾圧問題など多くの問題をはらんだ国家ではありますが、日本経済が「失われた30年」をいまもって取り戻すことができない現在、無視するにはあまりにも魅力的なビジネスパートナーでもあります。

うまくつきあえば日本経済に寄与してくれる一方、警戒すべきやっかいな隣人と、どうつきあうべきかについても本書で考えていきたいと思います。

私自身、ビジネスパートナーとして選んだCHUWIには、納期で苦しめられ、後述するバッテリー問題などでも問題解決に奔走していますが、CHUWIなくして私たちの飛躍はありえませんでした。

日本のデジタル化は残念ながら遅れています。それが白日の下に晒さらされたのが、コロナ禍で起こったさまざまな出来事でした──政府からの給付金の支給に時間がかかる、PCR検査陽性者の連絡がファックスで行われ、集計が人力で行われている、ワクチン接種券の交付に時間がかかる、接種した人の情報が政府と自治体で共有されていない──こうした公的機関の問題はそのまま日本社会全体の宿題でもあります。

タブレットを日本の未来を担う子どもたち一人ひとりに配るGIGAスクール構想をきっかけにして、1970年代後半に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された日本経済の栄光を取り戻し、IT先進国として自負を築くことができるのではないかと私は考えています。