霊格向上は世界を進化させる思想である!!

さて、世界を混沌から救い出し、進化させるにはどうしたらいいのか、本書で述べていこうとする理由をお話ししておきましょう。第2次世界大戦を経験した方は、日本でも世界でもどんどん少なくなってしまっています。

私は一兵士として中国に派遣されましたが、なんとか生きて復員できたのは、神に守られていたからだと感じるものがあります。私の1回目の大陸派遣は草木も凍る第九国境守備隊で甲種幹部候補生に選ばれ前橋陸軍予備士官学校に入るため内地に帰されたのです。何としても世界から戦争をなくさなければならないと強く思ったことを今でも覚えています。

復員してきて、敗戦で荒廃した時代を乗り越えるために、私は死に物狂いで働かなくてはなりませんでした。廃虚になった地方都市に職場がなかったのです。農村に住んでいましたが、本当に貧乏をすると誰も助けてはくれないのです。自分の手で家族を、そして自分の命を守るしかないのです。

新米農民の痩せた畑を、自宅の庭を掘り起こして、墓場の石の間も芋を作れるところは畑にして、サツマイモを作ったのです。水田がないから数年間、米の飯を食べたことはありませんでした。畑ですから、小麦は少し作りましたが、麦を刈る時期にヒョウが降ると全滅でした。

その時期、田植えのために、親戚の家に泊まりがけで3日間手伝いに行っても、目の前に米俵があっても米はもらえず、手間賃はただで帰りはリヤカーの底にジャガイモがひと並びだけでした。そういう日々を送っている中でも、

「この世から戦争をなくすにはどうしたらいいのか」

は、常に考えていました。有効な手立てはなかなか見つかりませんでした。

国連が世界を平和に導いてくれるのではないか、戦争のない世界を創ってくれるのではないか、と期待したこともありますが、実態はやはり、欲望にまみれた組織でした。戦争という手段に訴えずに、大国が己の欲望を満たすために作った組織だということが徐々に明らかになってきました。

ならば、世界を平和にするにはどうしたらいいのか、私は考えあぐねていました。時間だけが過ぎていきます。80歳になった私は、人生の節目に人生の覚悟を決めなくてはと考えて、一心不乱に瞑想の世界に入り、

「世界を平和に導きたい、それにはどうすればいいのだ」

と強く念じたのです。