(6)全国観光地化改革
1970年代の後半に大分県知事となった平松守彦という人がいた。1979(昭和54)年から2003(平成15)年まで6期24年にわたり知事を務めた。もとは商工省(現経済産業省)の官僚でコンピューターの黎明期にIBMに対抗する日本のコンピューター産業育成のため尽力した人である。
後に大分県副知事になった縁で知事を嘱望され、歴史に残る名知事になった。彼は「一村一品運動」を提唱し村おこしの先駆けとなった。村おこしについては、バブル期と時を同じくして全国に巨大な波を作った。そして竹下登内閣での全国一律1億円をひも付きなしで市町村に支給した「ふるさと創生」補助金の実施により大きなムーブメントを生んだ。平松知事が存在しなかったら、地域おこしの盛り上がりはなかったのかもしれない。
時は流れ、地域おこしの魂は全国に脈々と息づいている。地域おこしが大成功を収めている地区もあれば、失敗の連続で意気消沈をしている地区もあるだろう。また地域おこしなど全く無関係な地区もあるかもしれない。しかし、平松知事の精神が日本全国に浸透しているということは否定し得ないところであろう。
ただ私は一村一品運動だけでは足りないと思うようになった。
現在は新型コロナウイルスの蔓延によって外出が規制され、国民はもとより海外からの観光客も足止めされて人流が途絶えてしまった。しかしいずれ感染も収束するであろう。人の流れは再び復活を遂げ、これまで以上の観光客が全国を潤す時がくる。そこで私は提唱する。全国観光地化改革を推進していくべきだと思う。