【前回の記事を読む】高齢者施設で働く母親が、夏休みの自由研究で気づかされた「大切なこと」

第一章 『現在の家族』と『我が家のルール』

「パパって偉い、と子どもにちゃんと教える」

私は「パパじゃなく、ママで良かったな」と思うことが何度もあった。それは、子どもたちが小さい時に「世界で一番ママが好き」と言ってもらえたからだ。とても嬉しいと思う反面、「じゃあパパは?」と思ってしまう。

パパも子どもたちが大好きなのに、それが子どもたちに伝わっていない。何だか片想いみたいで寂しいな。パパのこと、子どもにちゃんと教えてみたら、家族がもっと楽しくなったので、その方法を紹介します。

おいちゃん、どこ行くと?

我が家の大黒柱である夫は、夜勤を含む変則的な仕事をしている。土日祝日、ゴールデンウイーク、お盆休み、年末年始など、全く関係ない。

夕方の16時くらいに、GパンにTシャツ、黒の皮ジャンを着て、リュックを背負い、大きな1100ccのバイクに乗って出勤する夫を見て、近所に住む空の同級生が「おいちゃん、どこ行くと?」と聞いてきた。夫は「仕事よ」と答えたが、「噓やん!」「遊びに行くんやろ!」と言い返されていた。夫は苦笑いしながら「行ってきます」と走り去ったがどんな気持ちだったのかな。

我が家の近くには銀行の社宅があり、近所の子どもたちのお父さんは、ほとんど銀行マンだった。きちんとアイロンのかかったYシャツを着て、ネクタイ、スーツ、革靴。朝、出勤して、夜、帰宅する。土日祝日はお休みで、家族で過ごす。それが、子どもたちにとっては「お父さん」のイメージだったのだろう。だから、夫の姿を見て、仕事に行くとは思えなかったのも分かる気がする。

子どもたちも「ママ、何でパパは夜、家におらんの?」「ママ、何でパパは学校が休みの日に、遊んでくれんの?」と聞いてくることもあった。私は「パパは一生懸命お仕事してるからね」「皆がお休みの時(夜や土日祝日)にお仕事するのは、大変なのに頑張ってくれてありがとう、って言わないとね」と答えた。

それでも、「ふ〜ん」と素っ気ない子どもたちだったので、これは何か作戦を練らねば! そうでないと、夫と子どもたちの距離が離れてしまうと思い、私はある作戦を実行した。

その名も、『夏休みはパパとデート作戦』。

子どもたちはパパともっと遊びたいはず。夫にデート費用を渡し、三人の子どもを一人ずつ順番に一対一で遊ぶ日を作るという作戦だ。夏休みで平日を有効活用出来るため、この作戦なら夫の変則的な勤務でも可能。

そして、デート費用が残ったら、夫のお小遣いにしようと約束したため、夫も工夫してデートの計画を立てていた。普段、一対一の時間など、ほとんどない三人姉弟だから、とても深い、良い時間を過ごせたようだ。

夫もいきなり「三人の子どもたちを一人で一日中面倒見て」と言われると抵抗があったかもしれないが、一日に一人だけなら、と快諾してくれ、毎年、夏休みの恒例行事となった。