汚職と弾圧の中国

中国では2014年に汚職官僚5万5101人が摘発され、その中には共産党の最高幹部だった周永康や、軍のトップ徐才厚と閣僚級以上の高級幹部が28人もいたといわれている。

また、2015年に立件された汚職官僚は5万4249人で、閣僚・省長級以上の摘発も41人と伝えられている。彼らの全てが金にまみれていたとは信じられない数字であるが、中傷の多い国柄なので足の引き合いなども絡んでいただろうし、この国では政府指導のもとに影の銀行ともいわれる信託銀行が理材商品(注4)を取り扱っており、その商品で負ったリスクを取り戻そうとし不正を働いた官僚も少なくはないと推察される。

共産党政権が民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件から、30年後の今でも、当時の弾圧を正当化し続けているのが中国という国である。

2017年7月にも広東省の化学工場関係労働者約30人を警察が拘束し、8月には労働者を支援していた女性活動家沈夢雨さんが何者かに連れ去られている。

沈さんの呼びかけに応じて駆け付けた全国の学生ら50人も警察に拘束され、19年には北京大の学生5人が失踪したが、直前から私服警察らしい複数の者につけ回されていたという。

香港の労働団体「中国労工通訊」の調査では、中国での労働争議は15~17年の3年間に建設業や製造業を中心とし約6700件発生しているという。

そして、政府の圧政に反発するチベット地域では、最近の10年間で150人以上の者が抗議のため焼身自殺を図っていると聞く。

また、中国の国防費は冷戦終結時の約50倍と米国に次ぐ規模に膨らみ、ベトナムなど周辺国との軋轢が絶えないとも報道されている。

米国と貿易戦争で制裁関税の応酬を続けながら、宇宙関連技術や高速大容量の第五世代(5G)移動通信システム開発等のハイテク分野での覇権を争うなど、米中の対立は「新冷戦」とも呼ばれているのである。


(注4)個人向け高利回りの「理財商品」は、2013年に前年末比で46%増の10兆9100億元(約185兆円)で名目国内総生産の約2割に達したが、債務不履行への懸念から伸びは鈍り出している。

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