松岡葵と落ち葉清掃
十月二十一日(月)、一週間の秋休みを終え、後期の始業式が始まった。
休みの間に行われた運動部の新人戦、俺たち野球部は二回戦で敗退した。運動部の団体は弱いことで有名な道枝中だが、それでもとっとと負けると悔しい。野間のバレー部も初戦敗退。そんな中でも優哉は期待通り、剣道の個人戦で準優勝し、表彰されていた。そして土居も、陸上競技の個人で地区予選を突破していた。バク宙もできる運動神経だ。納得と言えば納得だな。
さっそくお祝いの垂れ幕を発注する仕事ができた。これくらいは俺ひとりでなんとかなる。このあと、前生徒会役員の解任式。そして俺たちの就任式。今日から俺が、正式に生徒会長だ。
始業式を終え、体育館から教室へ戻る渡り廊下、一年生と思われる女子二人が俺の前を歩いていた。
「野間くん、生徒会だったんだね」
「え、野間くんって生徒会長なの?」
「野間くんならなんでもあり」
「かっこいいもんねー」
おい、どういうことだ。会長はこの俺だ。今さっき就任式をしただろう。なにが「野間くんならなんでもあり」だ。あんなヤンキーもどきに務まるか。でも、女子人気で当選したのは間違いなさそうだ。
「てかさ、生徒会って何する人たち?」
「さあ?」
腹の底にこっそり溜まっていた不安が、ぼやっと浮かび上がる。生徒会は皆に選ばれた存在。
そんな理想、どこにもない。