加藤諦三氏の本を読んで納得したのだが、父としては純粋に子供と交流を図りたかったのだろうが、無意識に自分に逆らわないように子供を教育していたのだ。これは親と子供が逆転した状態であり、父は子供に依存してわがままを言って甘えているのだ。父の内面には泣きじゃくる子供がいるのが見えてくる。

母のことを好きだと答えた父。しかし、日々のコミュニケーション不足が夫婦関係を悪化していく。

わかっている。仕方がないことだと。諦めるしかないことだと。

夫婦の問題は子供の僕にはわからない。お互いのイヤな面を見たのだろう。あらがいきれない嫌悪が剣となって相手を傷つける。何故、ここまで人を傷つけることに躊躇がないのだろう。

良心が働かないのだろうか? 夫婦なんてお互い様じゃないのか? どちらか一方だけが悪いのか? 夫婦の関係はボタンのかけ間違えで悪化する。

夫婦の関係を見ていると僕の人格は次第に暗く沈んでいく。暗く、暗く、底が見えない内側へと。なんだかそこはとても居心地がいい。誰も傷つかず、誰にも干渉されない僕だけの世界。たった一人の世界。

しかし、その世界に浸かりすぎると危険な蜜が注がれる。甘い甘い孤独の蜜が。孤独の蜜は次第に嫉妬の炎へと変わっていく。コミュニケーションをとるのが下手な僕は、コミュニケーション能力が高い人を見るとどうしようもなく嫉妬してしまう。僕もそうなれたらと自己嫌悪と嫉妬が交互に僕の体を蛇のように締めつける。

『人は孤独になるな孤高であれ』と教えてくれた人がいた。

そうなりたいものだと、今も奮闘中である。