【前回の記事を読む】恐ろしい…認知症が進行して「ご飯を食べてない」「死にたい」

今役立つ認知症のアドバイス

その4 独居老人が認知症になった時

2018年10月1日付の日経新聞で、「認知症、高齢者4人に1人」という記事を読みました。認知症とその予備軍であるMCI(軽度認知障害)を合わせると、65歳以上の高齢者の25%に上ると推計されるということです。従って、今後人手や費用がよりたくさん必要になると結論付けられています。

もし高齢者が認知症になっても、適切なケアを家族から受けられる、または施設で受けられる場合には、比較的問題ないでしょう。社会的にいちばん問題になるのは、高齢者が独居または高齢者だけの世帯で暮らしており、認知症が進んできた場合だと思われます。

私は、佐倉市役所と志津北部地域包括支援センターの方々とともに、「認知症初期集中支援チーム」というプロジェクトに2年以上参加し、活動しています。このプロジェクトは、地域内の高齢者に認知症の症状が見られているにも関わらず、適切なケアが行われていない場合に、医療や介護のサービスを開始する援助を行うというものです。

実際に問題となるケースは、高齢者の単独世帯または高齢者だけの世帯のことが多く見られます。私たちの活動は、地域住民などから、近隣の住民が認知症ではないかという報告を受けて始まります。具体的な内容としては、「同じことを繰り返して言うが、意味がわからない」「集金に訪れてもお金を払ってくれない」「家に引きこもって、外に出て来ない」などです。

そのほか、高齢者が近所で迷子になったり、家がごみ屋敷になっているという場合もあります。こういった報告を受けたら、センターの職員が調査に出かけます。

まず、本人との対面にて情報を聞き取ったり、話しながら本人を良く観察したり周りを見渡して、普段の生活状況を類推します。食事はきちんと食べているか、服や身なりは清潔に保たれているか、掃除などはできているかなどを見極めます。

それから私も参加してミーティングを開き、今後どう対応して当該高齢者をサポートしていくべきかの方針を決めます。近くに若い世代の家族がいれば連絡をして、病院受診や介護サービスの利用または施設入居などの手段を取ってもらいます。