バーチャル認知症外来

もし身近に認知症高齢の方がいなくても、「認知症」はニュースなどでよく聞く言葉ですが、正確な定義は一般的にはあまり知られていないようです。

実は「認知症」というのは一つの病気の名前ではなく、「脳の働きが低下して日常生活に支障がある状態」のことをいいます。

自力では「日常生活に支障がある」ので、本人ができなくなったことを誰かが代行したり介助をしたりして、日常生活をスムーズに送れるようにすることが必要になります。

認知症の症状は、「認知機能障害または中核症状」と「精神症状、行動障害または周辺症状」に分けられます。

前者の「認知機能障害」は、脳神経細胞が変性したりなくなったりすることの直接の結果として起こる機能障害で、記憶障害や見当識障害、実行機能障害、失認、失語、失行などがあります。

記憶障害は、新しいことを覚えられなかったり、つい先ほど起こった出来事を忘れてしまう症状で、何度も同じことを言ったり聞いたりします。

見当識障害は、時間・場所・人が分からなくなるものです。

時間がいつであるか、場所がどこであるか、そして人が誰であるかが答えられなくなります。実行機能障害は、交通機関を使って移動したり、料理などの家事の段取りをつけて行動することができなくなります。

失認はものが何か分からない、失語はものの名前が出てこない、失行は服の着方が分からなかったり、家電器具などの道具が使えなかったりします。

後者の「精神症状、行動障害」は、抑うつや不安・焦燥などの感情の大きな変化や、妄想や幻覚、幻視、幻聴などの精神症状、そして徘徊はいかいや異食、暴言や暴力などの行動障害などがあります。

以下に実際の患者さんたちの症状やご家族の対応の仕方を、「バーチャル認知症外来」と題してまとめてみました。