ロビーで受け付けをすませ会場に入るなり、ガヤガヤとした話し声や会場の華やかな雰囲気に圧倒された。既に男女合わせて七十人はいるだろうか。
会場の広さや用意されているグラスなどを見積もると、百人規模のパーティーになるのではないだろうか。カクテルパーティー(立食パーティー)らしく、結婚式の二次会に出席できそうなカクテルドレスを着ている女性もちらほら見受けられるので余程気合いが入っていると見える。
まだ定刻にもなっていないのに、積極的に男性に声をかける女性たちの姿が目に入る。無難にワンピースを着ておいてよかったと内心ほっとする。皆、婚活目的とあって、ぱっと見三十代が多い。二十代はあまり多くなさそうで、これには少し居心地の悪さを覚えてしまう。男性たちも三十代が多いが、本当に独身なのか職場での催しなので顔を出しただけのひやかしなのか、四十代、五十代っぽい人もいるし、私と同世代も割といる。
海上保安官ってこんなにモテる職業だったんだ……と私は肩をすくめながらさりげなく隣を見ると目を見張るリサと目が合ったので、同じことを考えていたのかもしれない。
それにしても、こんなにたくさんの人が参加しているとは思わなかった。勝手なイメージで、公務員(しかも会場はその職場)という相手側の職業柄(私の単なる偏見である)、もう少し落ち着いたというか、静かな雰囲気でのお食事会かと思っていたのだ。
もしかして、かなり前にはやった海上保安庁の海難救助隊員を主人公としたドラマの影響が続いているのかな、と考えていると、
「これって海犬効果?」
とリサが言うので、
「私もちょうどそれを思い出してた!」
と二人で笑ってしまった。