近代になってから様々な経緯によって外国に出ていき定着する韓国朝鮮人が現れた。中国には約一八〇万人(二〇一〇年)、アメリカ合衆国には約一七〇万人(二〇一〇年)日本には約五〇万人(二〇一三年)などがその主な居住地であるが、近年では韓国からカナダやオーストラリアに移住する人が増えている。

このほかに韓国企業の駐在員やその家族などを含めると、朝鮮半島人口の一〇%ほどは海外に居住していることになる。特にアメリカ合衆国では東部・西部に韓国系住民の集住居地域を持ち、政治力を発揮するようになってきている。

一方で韓国に居住する外国人も約一二〇万人(二〇一二年)にのぼっており、しかも年を追って増加傾向にある。うち、二〇万人ほどが中国系の朝鮮民族である。

一方、韓国を訪問する外国人は一二〇〇万人(二〇一二年)を数えるが、韓国人の海外旅行者数は約一五〇〇万人(二〇一三年)である。現在の大韓民国の総人口五一二七万人(二〇一六年、韓国統計庁)、面積約一〇万平方キロメートル(朝鮮半島の約四五%)。一般的な基礎情報で有難く学習しよう。我々は隣国の情報を知ってそうで案外正確な知識を掴つかんでいない。

地勢と環境

隣国、朝鮮半島は中国大陸と日本列島に挟まれ、古代からさまざまな民族が出入りを繰り返してきた。朝鮮半島の国々にとって、最も重要な外国は「中国」であり、中国大陸の政治的動向は国内政治にも強く反映した。この隣国の帝国「そう国」に比べ、近代以前の日本国との関係は二次的なものといえる。

韓国の概要をしっかりと押さえ、イメージしながら、「大中国史と韓国朝鮮史・日本史」について順を追って紹介していくことにする。さて本論の明治維新に戻る。

*大日本帝国をざわつかせる、東アジアの海外事情を正しく捉えよう。この第二章は国内事情を離れ、産業革命を促進して経済力を増し、海を越え世界各地に市場を求め交易を盛んにして、やがてその地を植民地にしようとした列強の国家行動を読んでみる。

欧米諸国の行動を、しからんとか横暴だとか、やたら、先進国の行動を批難するだけの目線では、やがて日本も目指す富国強兵政策の海外視察団の意味が深く汲み取れない。広く視線を拡げることで、日本国の置かれた立場と明治維新の「征韓論」を正面から理解しよう。この時の徳川幕府の対応姿勢は異国船打ち払い令と、薪水しんすい給与令であった。ここの説明は不要であろう。文字通りの解釈でよいが少し付け加える。