「巻き戻しすればどう?」
「確か、一週間前までは巻き戻しできるよな」
「やってみたら?」
そして、試しに巻き戻しボタンを押してみた。
《ここ出たら野宿かよ》エアリーに崎田らしい心の声の文字が出て来た。
「あっ、これだ! ドッグ飛ばしてみるか?」
「解決方法の方が先じゃない?」
「そうだな」
そしてボタンを押すと〈駐車場の三番。そのタイヤの辺りから土を採取してドッグの部品に記憶させてみる。そしてドッグに車の位置まで案内してもらうといいです〉
「凄いな」
「へえーー! 本当にこれって優れものね」
ドッグの部品に土の成分を記憶させ、巻き戻しボタンを押した。そして、崎田の居場所を突き止めてもらうことにした。
「おい、ドッグ、頑張って崎田の車まで辿り着いてくれよ」
「頑張ってね、ドッグ!」
クリスタルなので、二人には見えなかったが、空高くドッグは舞い上がって行った。二人は車に乗り、エアリーとパソコンをじっと見ていた。そして省吾が運転して追いかけて行った。
「道路じゃないところは厄介だな」
「遠回りするしかないわね」
「ホントに崎田のところまで辿り着けるのかよ」
「誰か他の人に車売ったとしたら違う人が乗ってるわよね」
省吾が説明書を詳しく読んでみると、ドッグのモニターボタンの操作の仕方が出て来た。そしてエアリーをパソコンにつなげて説明書にあるボタンを長押しするとパソコンにモニターが映し出された。
「凄い!」
「道路の上に高架があって、そこに車が走ってるな」
「やだ、高速じゃない?」
「乗るしかないな」二人の乗った車は高速に乗り、百二十キロで運転した。
「あの白のカレッサだな」
「あんまりスピード上げると怖いわ」
「向こうもわかってるんだろうな」
そして、その車は蛇行し始めた。更に、いきなり急ブレーキをかけ、走行車線を走ったかと思うとストップしてしまった。