両親との再会
早速竜治くんにメールを送ると、すぐ連絡が来た。
「あ。もしもし? ゲーセン見つかったみたいだね。やっぱり田舎だから遠いねえ。営業時間は?」
「午前十時から午後十時まで」
「じゃ~あ……午前十一時からでどう?」
「OK! 大丈夫」
「終了時間は午後六時ね」
「午後六時? そんなにするの?」
「なんかご不満? 勝ちたいんだろう。親父さんに」
「分かりました。竜治『先生』」
「じゃあ午前十一時開始だから、遅くとも二十分前に入店して。エントリー方法は着いたら教えるから」
「分かった。いいアドバイス待ってる」
「任せとけ。ああ~元旦から楽しみ(笑)お前を負かせられるなんて。よろしくな。じゃあ!」
「手加減しろよ。じゃあな」
畑仕事とは比べようもない頭脳戦が繰り広げられるのかと思うと心配になってきた。俺は果たして『竜治先生』のしごきに耐えられるんだろうか? 無性に不安だけが募り、眠れない一夜を明かした。
翌日。彼女からメールが入った。
『明日の元旦ってなんか用事入ってる? 元朝参りに行かない?』
『朝五時からならいいよ』
『なんでそんなに早いの?』
『ちょっとね。それに初日の出も見たいし。元朝参りの場所もこっちから指定した場所でお願い』
『怪しい。なんか隠してる?』
『疚しいことはないけど、今は隠しておきたいことなんだよ。三人で生活するための布石だから』
『ふ~ん。分かった。じゃあ、後で集合場所を送って。では、良いお年を!』
『こちらこそ良いお年を!』
と返した。夕飯を食べ終え、紅白歌合戦を途中まで見て寝床に就いた。
新年を迎えた午前二時。俺は三つの水筒に温かいお茶を入れ、車を走らせ彼女たちと約束した場所まで向かった。午前五時をやや過ぎた頃、後ろから彼女が声をかけてきた。
「お待たせ~。あけましておめでとう。今年もヨロシクね」
「あけましておめでとう。こちらこそヨロシク」
「寒いね~。体が凍りそう」
「ほら」と巻いてきたマフラーを彼女の首にそっとかけ、二人に水筒を渡した。
「ああ~。あったかい。いつも気が利くね」
「翔太くんも寒くないか?」
「ありがとうございます。僕はカイロだけで大丈夫です」
「早速初日の出見に行こうよ」
「車に乗って」と、二人を乗せ車を走らせること三十分、海が見えるとある港へ着いた。
「なんで港なの?」
「やっぱり初日の出と言ったら水平線から見える太陽のほうがいいだろ?」
「そっかあ」