【前回の記事を読む】「バリアフリーとユニバーサルデザインってなにが違うの?」
車道と歩道の段
みんなが使いやすくする工夫は、けっこう難しいものです。歩道と車道の段差はあった方がいいのか? 無い方がいいのか? とアリコさんに聞きました。すると、「考えた事が無かった」と正直な返事が返ってきました。車いすやベビーカーの利用者と視覚障害者ではニーズが相反しますが、こんな事も自分が困った事が無いと、想像するのは難しいでしょう。歩車道の段差は3種類あり、それぞれに長所と短所があります。
マウントアップ型は、歩道が車道よりも15センチほど高くなっています。宅地などの入り口では、車が車道から入りやすいように切り下がっており、歩道の幅の中で車道側は低くなっています。そのため車いすは車道側に引きずりこまれるような力に抵抗しながら進まなければならなくなり、車いすの友人が「車道の方がまっすぐで、走りやすい」と言うほどになっています。しかしこの高さのおかげで、ベビーカーや車いすの人がノンステップバスやワンステップバスを利用する時には、乗降時のスロープ角度が緩くなるという長所があります。
フラット型は、歩車道が同じ高さで車いすの人には走りやすいものの、視覚障害者には歩車道の区別がつきにくく危険です。縁石で仕切られてはいますが、運悪く縁石が無い所から車道に出てしまう可能性もあります。そこでセミフラット型という、歩車道の段差を5センチほどにして、縁石で仕切る方法が今は主流となっています。