第Ⅰ章 看護について知る
第1節 看護とは何かについて知る
〔ねらい〕
1.看護史、看護の定義、看護理論の内容からどのように看護が捉えられているのかを知りましょう。
2.看護の定義から看護が目指すあり方について理解しましょう。
「看護とは何か」については、看護を学び始めた学生が思い悩み、経験を積んだ看護職者も立ち止まって考えることだろう。
また、患者の看護を実践しているときにふと頭のなかによぎることもあれば、研究者らのなかには看護学として探求し続けている方もおられるだろう。
さらに、看護を専門とはしない他職種、看護を受ける患者や家族も「看護とは」について考え、看護師に突きつけることもあるのではないだろうか。
それぞれに答えがある、ともいえるだろうが、「看護とは」について我々は常に問うことを忘れずにいなくてはならない、と考えておくべきではなかろうか。
ここでは1960年代からV.ヘンダーソン、F.ナイチンゲールの著作研究を行った小玉(2000年)が記述した内容を紹介し、学習の手助けとしたい。
小玉の追及路線その1として記述されていた点は、「看護が他の専門から借りて使ってきた知識を看護のなかに取り込み、位置づける作業」「看護の知識を新たに生み出すための研究活動」「現存する看護の知識を探し出してインデックス化する作業」であった。
そして追及路線その2は「より直接的な“看護とは”」の追求路線もあったとして、「病気をではなく、それに出会っている人間のほうをみることを常に優先させるという看護の独自性」、健康問題に出会ったその人の置かれている状況に「自らその状況の一部となって個別のニーズにこたえる看護婦」「看護学が人間をみつめる観点」という点を挙げていた。
これらはここで学ぶ看護の定義とも通じており、学習しながら自身で「看護とは」を問う上での手掛かりになるだろう。