プロローグ
ふと隣に目をやると、いつものように優しく微笑む彼女がいる。まだ幼い日から、いつだって彼女は僕のそばにいてくれて、その当たり前になった幸せをもっと近くで感じたくて、僕はあの日彼女と生涯をともにすることを決めたんだ。
「私、もう一人ぼっちじゃなくなるんだね」
涙で滲んだ瞳をこちらに向けて、頬を緩ませる彼女。
「これまでたった一人で、寂しい思いを抱えながら生きてきたこととはもうさよならしよう。僕がこれからはずっとそばにいるから」
そう言葉をかけると、彼女は幸せそうに目を伏せる。
「……そうだね、私も透くんと一緒なら、きっと幸せになれるよね」
嬉しそうな彼女を見て、心から愛おしいと思った。僕たちは、もうすぐ結婚式を挙げる……はずだった。