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スリランカ

地理の授業では「スリランカ」ではなく「セイロン」と教えられた。それにセイロン紅茶というコトバも馴染んでいたので新名のスリランカに慣れるまで時間がかかった。

スリランカはインド、ポルトガル、オランダ、イギリスなどの影響を受けてきたが、第二次世界大戦後にセイロンとして独立(一九四八)し、英連邦の一員となる。

一九七二年にスリランカ共和国と改称し、さらに一九七八年にスリランカ民主社会主義共和国と改称した。インド半島の南東、インド洋上の島国で、スリランカとは「光り輝く島」の意だという。

スリランカは仏教の盛んな国である。人口は約二一〇三万人(二〇一六年)。面積は北海道の約〇・八倍。仏教はインドの仏陀を開祖とし、時代の変遷とともに各地に普及する。日本、中国、チベットなどへは、北伝と称される大乗仏教が主に広まり、スリランカ、ミャンマー、タイなどには南伝、すなわち上座部じょうざぶ仏教が伝播でんぱした。

大乗仏教は古来の仏陀の教えに新しい解釈を加えたもので、「大乗」は自分一人の悟りのためだけでなく、多くの人を彼岸に運ぶことのできる大きな優れた乗り物という意味である。

上座部仏教の上座部は「長老の教え」という意で、戒律に例外を認めず厳格に順守することを主張する。小乗仏教ともいわれるが、「小乗」は劣った乗り物という意で、これは大乗仏教側からの蔑称なので上座部仏教というコトバが用いられる。

スリランカ人で川崎に住んでいるNHさんから家内に佐原にある蘭華寺らんかじで会いましょうという誘いがあった。昨年の11月にスリランカで彼女のお父さんが亡くなり、その法事を行うという。

NHさんは家内の日本語教室の時の教え子である。ご主人のHHさんの仕事の関係で神栖を離れてからも連絡を取り合っている。蘭華寺は一九八九年にスリランカの仏教寺院として設立されたもので、布教活動や瞑想教室の開催などスリランカと日本の懸け橋となり、在日スリランカ人の心の拠りどころとなっている。

スリランカ人は仏教を基盤にして生活しているので、誕生、結婚、出産、死亡など生まれてから亡くなるまでことあるごとに寺院を訪れる。法事は一〇時半から二時までで、最初は本堂に家族とゲストが正座し、僧侶にお経を唱えてもらいながら故人の冥福を祈る。それから隣のホールに移り食事をする。

ホールには各種食器類がそろっており、当家で用意してきたご馳走を協力しあって盛り付ける。ご主人のHHさんはスリランカの一流ホテルでシェフをしていた方で、神栖のスリランカ料理店で働いていたが、現在は川崎のレストランで働いている。