【前回の記事を読む】「遊ぶ」ことができない子供に「大人」が遊びを教える方法とは

「基本的生活習慣」をつける事が大切!

4歳の時に、NHKの「言葉の相談」に伺ったことがきっかけで、5歳の時、NHK厚生文化事業団の「障がい児のための親子合宿」に参加しませんかとお誘いの手紙が届き、次男と共に3人で合宿に参加しました。NHK厚生文化事業団は「親の勉強会」を主体に企画されていました。

学生ボランティアさんが、障がい児達を近くの山にハイキングに連れて行ってくれて、夕食からお風呂に入れて寝かしつけるまで、一日中面倒をみて下さっている間、親達は、ダウン症や吃音や自閉症など子どもの障がい別に、担当の先生を交えて「勉強会」が開かれました。親達は、子ども抜きの集中出来る環境の中、勉強する事が出来ました。

自閉症グループは、東京学芸大学の教授でおられたN先生がご指導下さいました。親達は6人程だったと思います。N先生は、世界各国の自閉症の施設を見て回り、成人の自閉症の方に詳しく、自閉症であってもその特質を活かし、「ピアニスト」になっている人、気象予報研究所の「研究員」になっている人など、立派に仕事をしている人の例を話して下さいました。

2年前、「将来は、病院に入ることになるだろう」と言われていましたが、「自閉症」であっても、仕事が出来るようになるのだと、私は、希望を持つ事が出来ました。そして、以前、日本でも、言葉のない自閉症の成人が手先の器用な事を活かし、相撲取りの「化粧まわしの刺繍」を仕事としてやっている話を人づてに聞いた事を思い出し、たとえ、将来、息子の言葉がなくても仕事が出来る人間に育てようと「目標」を持つ事が出来ました。

合宿の最終日、ダウン症や吃音、自閉症のグループが一同に集まり、合宿で話し合った内容を発表する事になりました。自閉症のグループは、内気な私が発表する事になってしまい、ドキドキしながら発表しました。

最後、各障がい担当の全員の先生方が総括として、どんな障がいであろうとも自立して生活出来るよう「基本的生活習慣」を身につける事が大切! 障がい児でも特別扱いはせず、健常児と同じように「いけないことはいけない」と教え、「普通に育てる事」が大切だと、締めくくられました。

前述のような「自由奔放で良い」という考え方とは真逆に捉えた指導方針を、同じNHKが指導する事に驚きましたが、私は、次男と同じに普通に育てる教育方針で良かったのだと確信を持てました。

「朝起きて、顔を洗う。歯磨きをする。洋服は自分で着られるようにする。ボタンもかけられるようにする。トイレもきちんと一人で出来るようにする。ズボンも履けるようにする。お風呂で頭や身体を洗うことが出来る。靴の右左がわかり履ける」など、人間として最低限の「基本的生活習慣」が出来るように、特別扱いせず育てる考えが、障がい児の自立のための第一歩になることを勉強することが出来ました。