四「先生、側転でラインを越えたけど受かるだろうか」「心配するな。大きな図体して」教師はめんどくさそうに言うとくるりと背を向けてしまった。発表まではまだ時間がある。常雄は暇潰しにその坂道の横のコンクリートの乾いた溝に丸い小石を転がし始めた。「いいか。こいつが下まで転がっていけば合格だぞ」彼はピンポン球ほどの石を溝のなかにポンと投げ込んだ。石はしばらく転がってから傾斜が緩やかなためと溝のなかにまで垂…
[連載]春の息吹
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小説『春の息吹』【第2回】相木 鍾三
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