【前回の記事を読む】「わたしがいけない子だから」元彼との歪な関係に苦悩する学生
元彼との関係
彼女が反論してくる前に、私は語気を強めて話し続けた。
〈自分のいるところがないのだから、元彼のところに行くのは悪いことではない。ちゃんと行く場所を作っていれていることは、とても健康的でよいことです〉
〈そこが十分な居場所でないのは、あなたのせいではない。つらさを忘れたいから人のぬくもりを求めるのは、いけないことでも何でもない。そういう相手を見つけられたのは、とてもいいことだと思う〉
〈いくら頑張っても安心できる場所ができないのは可哀想だけれど、それは少しずつ、作っていくことができる。作っていくしかない〉
〈寂しくて仕方ない自分は、いけない子ではない。それをやわらげようと誰かと付き合うことも、いけないことではない〉
〈あなたはたくさん傷つきながら、よくここまでやってきた。その傷つきをいっぺんに癒すことはできないけれど、少しずつ治していきませんか。そのつらさをどうにかしたいと思うのは当然のことだし、少し役に立てると思います。まず、自分はいけない子だと言って、自分で自分を傷つけるのをやめるところから始めましょう〉
彼女は震えながらうなずいた。そして何度も何度もうなずいたが、震えは止まらなかった。